日本では多くの企業が信用取引を行っており、最初に商品やサービスを提供して後から代金を受け取ります。売上が多かったとしても入金までに時間がかかると、当面の経営資金が不足して黒字倒産する可能性が存在します。売掛債権を早期に現金化すればキャッシュフローが改善されて黒字倒産を防ぐことができます。素早く資金を調達するため多くの企業が債権譲渡を選んでいます。
債権譲渡によって入金期日前に売掛債権を現金化する手法はファクタリングと呼ばれています。利用者は一定の手数料を支払い、ファクタリング会社に未回収の売掛債権を買い取ってもらうのが特徴です。この取引は金銭消費貸借契約ではなく売買契約なので、金融機関からの融資のように負債が残ることはありません。債権譲渡した売掛債権が回収不能となった場合も、利用者が責任を負う必要がないので安心です。
この取引には利用者とファクタリング会社だけで行うものと、売掛先が関与するものが存在します。前者は2社間取引と呼ばれており、手続きを素早く進めることができるため即日での現金化も可能です。後者は売掛先に通知をして承諾を得なければならないので、現金化までに1週間ほどかかります。金融機関からの融資を受ける場合は数週間から数か月ほどかけて審査が行われます。
3社間取引でも金融機関からの融資と比べて短期間で経営資金を調達できます。2社間取引は手数料が高めに設定され、反対に3社間取引は安く設定される傾向があります。具体的なサービス内容や手数料はファクタリング会社によって異なるので、各社を比較検討して状況に合ったものを選ぶとよいでしょう。